さて、今回は
に引き続き、タンパク質の専門家である兄者が解説するプロテインシリーズ③をお届けしたいと思います!
前の記事を読んでいない方は①と②を読んでおくことをおすすめします!
今回は
1、タンパク質とアミノ酸ってなんだっけ?の復習。
2、ホエイプロテインのアミノ酸組成。会社ごとに違ったりするの?
3、グルタミンの量がアミノ酸組成に書かれていないんだけど、グルタミンが入っていないプロテインとかあるの?
をテーマに話します。ではひとつひとつ解説していきましょう。
まずはタンパク質とアミノ酸ってなんだっけ?について復習しようと思います。
これはこの先の記事を理解するために非常に大事だからです。
で書きましたが、イメージ的には
アミノ酸=レゴブロック
今日はもう一歩踏み込みます!
それは各タンパク質のアミノ酸組成は決まっているということです。
例えば、左上の模式図で示したホエイタンパクの主成分であるβラクトグロブリンは、アミノ酸が162個連なって完成したタンパク質です。
その配列は
と決まっています。
ちょっと難しいですね。
このアルファベットのひとつひとつがアミノ酸の名前に相当します。
例えば最初の MKC… は
M = メチオニン
K = リジン
C = システイン
となります。
つまり
1、ホエイタンパク質の主成分はβラクトグロブリンである。
2、βラクトグロブリンはアミノ酸が162個連なってできたタンパク質で、その組成が決まっている。
ということです。
さて、ここで頭のキレる方ならすでに気づいているかもしれませんが、
あれ?そしたらホエイプロテインのアミノ酸組成ってそもそも最初っから決まってんじゃねえの?
ということに、気づいたでしょうか?
実はこれ、その通りなんです。
というわけで、実際に僕が、公開されている某2社のホエイプロテインのアミノ酸組成と、前の記事で登場した論文に書かれている、研究者たちが牛乳から精製したホエイプロテインのアミノ酸組成を比べてみました。
見事にアミノ酸組成、ほぼ一緒ですよね?
つまり、ぶっちゃけ、どの会社のプロテインもホエイプロテインである限りはアミノ酸組成はほぼ変わらないのです。
プロテインの精製方法によって若干の違いは出ますが、基本的に組成は変わりません。
これはカゼインやソイにおいても一緒であり、カゼインプロテインであれば会社ごとに違いはあまり出ませんし、ソイでも一緒です。
もちろんメーカーによってはビタミンを加えていたり、精製方法の違いによって脂質の量が若干違っていたりします。
しかしアミノ酸組成に関しては会社でさほど違いは出ないはずなのです。
さて、最後に、注意深く上のグラフを見た方であれば、とあることに気づいたと思います。
グルタミン、アスパラギン、システイン、トリプトファンの値が載っていません?
システインとトリプトファンについては、論文で値が載っていなかったので、グラフに載せていません。某2社に関してはシステインとトリプトファンの値は載っています。
ですが問題はグルタミンとアスパラギンです。
これら二つのアミノ酸の値がどのアミノ酸組成をみても載っていません。
特にグルタミンに関してはトレーニーが気にしがちなアミノ酸なので、どうしてないのか気になりますよね?
これは別に陰謀でもなんでもなくて、ただ単なる技術的な問題です。
タンパク質のアミノ酸組成を測定する際は、
2、バラバラにされたアミノ酸の量を測定する。
といった手順を辿ります。
実はこのタンパク質をバラバラにする際、グルタミンはグルタミン酸に、アスパラギンはアスパラギン酸に変化してしまいます。
よってグルタミンとアスパラギンの量は測定できないのです。
ですが安心してください。
もう一度このグラフをみてみると、明らかにグルタミン酸(つまりグルタミン+グルタミン酸)の量は多いです。
さらに、ホエイとカゼインはともにグルタミンがたくさん含まれているタンパク質だということが知られています。
乳由来のホエイ、カゼインはグルタミンリッチなプロテインだと言えます。
さて、プロテイン解説シリーズ第3弾でした!最後にこの記事のポイントをまとめると
2、測定過程で分解されてしまうので、プロテインのアミノ酸組成表にグルタミンとアスパラギンの量は載っていない。
3、乳由来のホエイもカゼインもグルタミンリッチなタンパク質。
次回は
プロテインシリーズ④ :良質なタンパク質とは
というテーマで書こうと思います!
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[…] ③ プロテインのアミノ酸組成 […]
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